はじめに
転職活動において、自己PRと並んで合否を大きく左右するのが「志望動機」です。「なぜ当社で働きたいのか?」この問いに対して、採用担当者の心を掴む答えを用意できるかどうかが、内定獲得への重要な分かれ道となります。
しかし、「何を書けばいいか分からない」「ありきたりな内容になってしまう…」「本音と建前はどうすれば?」など、志望動機の作成に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
この記事では、転職活動における志望動機の重要性から、採用担当者に「この人にぜひ入社してほしい!」と思わせるための具体的なコツ、さらには避けるべきNG例まで、分かりやすく徹底解説します。これを読めば、あなたも自信を持って、熱意と論理性を兼ね備えた志望動機を作成できるようになるはずです!
なぜ「今」転職?転職理由と一貫性を持たせよう
まず、志望動機を語る上で大前提となるのが、「なぜ今のタイミングで転職を考えているのか」という転職理由との一貫性です。
- ポジティブな動機を意識する: 「現職に不満があって…」というネガティブな理由だけでなく、「新しい環境で〇〇に挑戦したい」「これまでの経験を活かして、さらに〇〇の分野で専門性を高めたい」といったキャリアアップや自己成長に繋がる前向きな姿勢を示しましょう。
- 退職理由と矛盾しないように: 面接では退職理由も聞かれることが一般的です。その際に語る内容と、志望動機で語る内容に矛盾が生じないように注意が必要です。一貫性のあるストーリーは、あなたの発言の信頼性を高めます。
- 「今」である必要性: なぜ他のタイミングではなく、「今」転職を決意したのか、その背景にあるあなたのキャリアプランや目標を明確にすることで、志望動機に深みが増します。
NG例: 「今の会社の方針が合わないので、もっと自分らしく働ける場所を探しています。」
OK例: 「現職で培った〇〇のスキルを、より専門性の高い分野で活かし、新たな価値創造に挑戦したいと考え、転職を決意いたしました。」
なぜ「この会社」?徹底リサーチで熱意を伝える
数ある企業の中から、「なぜこの会社を選んだのか」を具体的に、そして情熱を持って語ることは非常に重要です。そのためには、徹底的な企業研究が不可欠です。
- 企業の「どこに」共感したのか具体的に:
- 企業理念・ビジョン: どのような想いで事業を行っているのか、将来どこを目指しているのか。
- 事業内容・ビジネスモデル: どのような製品やサービスを提供し、社会にどんな価値をもたらしているのか。
- 社風・文化: どのような働き方をしているのか、どんな価値観を大切にしているのか。
- 最近のニュースや取り組み: 新しいプロジェクトや社会貢献活動など、具体的に注目している点を挙げるのも効果的です。
- 「同業他社ではなく、この会社でなければならない理由」を明確に: 競合他社と比較して、その企業ならではの強みや魅力を自分なりに分析し、そこに惹かれた理由を伝えましょう。
- 情報収集の方法: 企業の公式ウェブサイト、採用ページ、ニュースリリース、社長や社員のインタビュー記事、業界情報サイト、口コミサイトなど、多角的に情報を集めましょう。可能であれば、製品やサービスを実際に利用してみるのも良いでしょう。
NG例: 「御社の将来性に魅力を感じました。」(具体性がない)
OK例: 「貴社が掲げる『〇〇という理念』に深く共感し、特に近年注力されている△△事業の革新性と社会貢献性の高さに強く惹かれました。同業他社と比較しても、貴社の□□という独自の強みは、今後の市場において大きな成長を遂げると確信しており、その一翼を担いたいと考えております。」
何ができる?「貢献」の意思と具体策を示す
企業は、「あなたが自社に何をもたらしてくれるのか」を知りたいと考えています。これまでの経験やスキルが、入社後にどのように活かされ、企業に貢献できるのかを具体的に示しましょう。
- 自身のスキル・経験と企業のニーズを結びつける: あなたの強みや専門性が、応募企業のどのような課題解決や目標達成に役立つのかを明確に提示します。求人情報や企業情報から、企業がどのような人材を求めているのかを読み解き、的確にアピールしましょう。
- 「貢献したい」だけでなく「こう貢献できる」という具体性: 「頑張ります!」という意気込みだけでなく、「私の〇〇という経験を活かして、具体的に△△という分野で貢献できます」と、行動レベルでの貢献イメージを伝えられると説得力が増します。
- 企業の課題を理解し、その解決にどう貢献できるかをアピール: もし企業の課題や業界の動向について理解があれば、それに対して自分がどのように貢献できるのかを提案するのも有効です。
NG例: 「御社でたくさんのことを学び、成長したいです。」(受け身の姿勢)
OK例: 「前職で培った〇〇の経験と△△のスキルは、貴社が現在強化されている□□部門において、顧客満足度の向上と業務効率の改善に貢献できると確信しております。具体的には、~といった施策を実行することで、~といった成果を目指せると考えております。」
将来どうなりたい?キャリアプランとの繋がりを明確に

その企業で働くことが、あなた自身の長期的なキャリア目標や将来像とどのように繋がっているのかを示すことで、入社意欲の高さと計画性をアピールできます。
- 企業で実現したいこと、将来の目標: 入社後にどのような仕事に挑戦し、どのようなスキルを身につけ、将来的にはどのような人材になりたいのかを具体的に語りましょう。
- 企業の成長と自身の成長をリンクさせる: 企業の成長フェーズや事業戦略を理解した上で、そこで自分がどのように成長し、貢献していきたいのかを伝えることで、企業との長期的なパートナーシップを意識していることを示せます。
- 「この会社で長く働きたい」という意思表示にも: 明確なキャリアプランは、定着して活躍してくれる人材であるという期待感を高めます。
NG例: 「特に将来のことは考えていませんが、任された仕事を頑張ります。」
OK例: 「まずは貴社の〇〇部門で専門性を深め、将来的には△△のようなプロジェクトをリードできる人材へと成長したいと考えております。貴社の□□という育成制度やキャリアパスにも魅力を感じており、長期的に貢献していく中で自身の市場価値も高めていきたいです。」
あなただけの言葉で!独自性と具体性で差をつける
多くの応募者の中から選ばれるためには、ありきたりな表現を避け、あなた自身の言葉で、具体的なエピソードを交えながら語ることが重要です。
- テンプレートの丸暗記はNG: どこかで聞いたような美辞麗句を並べても、面接官にはすぐに見抜かれてしまいます。
- 自分の体験に基づいた言葉で: なぜそう思うようになったのか、何に心を動かされたのか、あなた自身の経験や価値観に基づいた言葉で語りましょう。
- 具体的なエピソードを交える: 企業理念に共感したきっかけとなる出来事や、その企業で活かせるスキルを培った具体的な経験などを盛り込むことで、話に深みとオリジナリティが生まれます。
あなたにしか語れない、熱い想いを伝えましょう。
これはNG!避けるべき志望動機のポイント
熱意を伝えようとするあまり、かえってマイナスな印象を与えてしまうケースもあります。以下の点には注意しましょう。
- 前職の不満や悪口を言う: 「給料が安かった」「人間関係が悪かった」など、ネガティブな理由は避けましょう。
- 「学ばせてほしい」という受け身な姿勢が強すぎる: 企業は学校ではありません。貢献する姿勢を示すことが重要です。
- 待遇面や福利厚生だけを理由にする: もちろん重要な要素ですが、それだけを前面に出すのは避けましょう。
- どの企業にも当てはまるような抽象的な内容: 「貴社の安定性に惹かれました」「社会貢献したいです」だけでは、なぜこの会社なのかが伝わりません。
- 企業の情報を鵜呑みにしすぎる、または誤解している: しっかりとリサーチした上で、自分の言葉で理解を深めることが大切です。
簡潔に、論理的に!伝わる構成を意識する

どんなに素晴らしい内容でも、相手に伝わらなければ意味がありません。分かりやすく、簡潔に、そして論理的に話すことを心がけましょう。
- PREP法などを活用:
- P (Point): 結論(志望する最も大きな理由)
- R (Reason): 理由(なぜそう思うのか)
- E (Example): 具体例(経験やエピソード)
- P (Point): 再度結論(入社への意欲、貢献できること)
- 結論ファーストで伝える: 最も伝えたいことを最初に述べ、その後に理由や具体例を続けると、話が分かりやすくなります。
- 話が長くなりすぎないようにまとめる: 面接時間は限られています。事前に話す内容を整理し、1分~2分程度で簡潔に話せるように練習しましょう。
まとめ
転職活動における「志望動機」は、企業へのラブレターのようなものです。なぜその企業に惹かれ、そこで何を成し遂げたいのか、そして自分は何ができるのか。これらの想いを、あなた自身の言葉で、情熱と論理を持って伝えることが成功への鍵となります。
そのためには、徹底した自己分析と企業研究が欠かせません。そして、この記事でご紹介した
- 転職理由との一貫性
- 企業への深い理解と熱意
- 貢献の意思と具体策
- キャリアプランとの繋がり
- 独自性と具体性
- 避けるべきNGポイントの理解
- 伝わる構成力
といった「志望動機のコツ」をしっかりと押さえ、あなただけの魅力的なストーリーを練り上げてください。
時間はかかるかもしれませんが、丁寧に準備した志望動機は、必ずや採用担当者の心に響き、あなたの転職活動を力強く後押ししてくれるはずです。自信を持って、未来への扉を開きましょう!